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いつも気になる著作権の問題

音楽が、聴く側と演奏する側に分かれる時代から、音楽シーンにすべての人が参加する時代へと移行しつつある、という現状認識を述べました。

その現状認識の上で問題にしたいこととして、音楽の能力と遺伝との関係を検討しました。考えたいことがもう一つあります。著作権の話です。

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音楽活動をしていると、私のような素人ミュージシャンであっても、著作権の問題は大きな足枷に感じられます。

例えば、私のように月に1回程度、灘浜で気持ちよく自作バッキングに乗せて演奏というか練習というか、をする場合でさえ、著作権にかかわるのかどうか、気にしてしまいます。

著作権法には以下のようにあって、本来なら著作権を気にせずに演奏というか練習をすることができます。営利目的でないし、お金ももらわないからです。

第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

ところが、JSARAC(日本音楽著作権協会)の「著作物の使用料」には、お金をとらない場合の演奏の料金表が載っています。 「入場料がない場合で、かつ公演時間が2 時間までの場合の使用料は、定員数に4 円を乗じて得た額あるいは2,000 円のいずれか多い額とする。公演時間が2 時間を超える場合の使用料は、30 分までを超えるごとに、公演時間が2 時間までの場合の金額に、その25%の額を加算した額とする。」

私のように、灘浜で演奏だか練習をしていて、たまに家族づれやおじいちゃん、おばあちゃん、ごくたまには犬が聴いてくれている場合、1回2時間で4人の聴衆の場合、16円を払わなければならない、ということになるでしょうか。広いところでやっているから、「定員」は50人はいけそうですから、すると200円になるのかな。

インターネットで検索してみると、実際に路上ライブで著作権料を請求されたという話が出てきます。 路上ライブでも、ギターケースを通行人に向けていたりすると、営利目的とされるのかもしれませんね。ただ、私の場合、そういうことを一切していないのに、通行人がわざわざ演奏している私の横に置いてあるサックスのケースにお金を入れに来てくださったことがありました。韓国に用があってサックスを持って行ったときのことでしたが、びっくりしました。日本円でいうと1000円札を入れてくれたお姉さんと、50円玉を入れてくれたおじさんでした。

つまり、灘浜で気ままに演奏だか練習をするときにも、著作権の問題は意識せざるを得ないのです。単なる取り越し苦労でしかないのは分かっていますが。

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ましてインターネットの世界での著作権の問題は複雑です。

このブログのホームページにも、いくつか演奏したものをアップしていますが、著作権切れを確認できた曲しかアップしないことにしています。

録音した演奏は、生の演奏とは別物だという話と、それについての私なりの実感は、別の機会にまた書きたいと思いますが、それとは別に、私の場合、演奏を録音したものを誰かに評価してもらいたいという気持ちが生じてしまいます。ろくでもない欲求なのは百も承知なのですが。

まず、自分の演奏を客観的に捉えて何をすべきか考えるために、演奏を録音します。録音したものを繰り返し聴いて自己学習します。そのうち、相対的に満足感の高い演奏があることを発見します。それを誰かに聴いてもらいちという欲求が生まれます。それで、インターネットのサイトにアップします。

You Tubeは、JASRACとも協定を結んでいるそうで、たいていは大丈夫なようです。Sound Cloudは、そうではないので、注意しないといけないようです。

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素人ミュージシャンといえども、著作権問題を意識することは大事なことだと思います。プロの音楽家は、作曲したり演奏したりすることで食べているわけですから、著作権は死活問題です。その権利を侵害するようなことになってはいけません。

ただ、著作権法の最大の目的は、文化の発展への寄与です。著作権の解釈によっては、文化の発展を阻害することもありえます。

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

このところ世間を騒がせていることに、JASRACが、音楽教室において教授指導を行う際に使用する曲に対して、著作権料を徴収しようとしている、ということがあります。音楽教室は激しく抵抗していますが、どうも流れは徴収が執行される方向に向かっています。2018年3月3日に、文化庁がJASRACの方針を容認する判断をしたと報じられました。

このような著作権の拡大解釈は、文化の発展を阻害することにならないのか、私は大きな疑念を持っています。なぜこのような事態に及んでいるのか、次回はこの背景について考えてみたいと思います。

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