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Buescher Aristocrat

これまで私が吹いてきたアルトサックスは、2本ありました。1本目は高校生のときにアメリカでもらってきたもの。とても古い楽器で、今にして思えば特に低音の出にくい楽器でした。実家の引っ越しの時にいつのまにか紛失してしまいましたが、Martinと銘打たれていたような気がします。オーバーホールしたら、けっこういい音が出たのかもしれません。

2代目は、YAS62。これは定評のある楽器です。東京から神戸に来るときに、お餞別としていただいたものです。艶のある音が出て、クラシックからポップス、ジャズまでこなせる万能型の楽器です。

どちらの楽器も私を成長させてくれた楽器でした。たぶんYAS62とはこれからも長いお付き合いになると思います。

そして先月、はじめて自分で選んだ楽器を手にしました。それがBuescher AristocratⅠ。1930年代にアメリカで製造された美しい楽器です。先週あった2回のステージでデビューしました。出したい音に少し近づいた気がします。少し出しにくい音や、反応が悪いキーがあったりしますが、それを差し引いても、私の表現欲求をかきたてる素敵な楽器です。枯れて乾いた音で、聴いてもらった人は「息の音がいい」のだそうです。なんというか、私自身の身体と聴衆とをダイレクトにつないでくれる楽器というようなイメージがあります。

しばらくこの楽器を吹き込んでみたいと思います。機を見てオーバーホールに出して改善できたら、一生物のサックスになるかもしれません。

1930年代。世界大恐慌の前の時代に生まれた楽器。それが私の音を作り出してくれていると考えると、それだけで心が躍ります。

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