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昨夜のライブの反省

昨夜は恒例のライブを楽しんだ。神戸元町のライブカフェ萬屋宗兵衛で、かれこれ15年程も毎年2回ずつやっているライブだ。

このブログで大好きな曲として紹介した「いつか王子様が」や「You must believe in spring」も演った。「Days of wine and roses」とか「My foolish heart」「Blue Bossa」とか、他にも好きな曲をたくさん演った。

何回もやってきたライブの中で、今回ほど満足感のないライブは近年になかった。きっとそれは、理想と現実のギャップを再認識したことが原因だ。

この半年あまり、自分がどのような演奏をしたいかということを考えてきた結果、目の前にいる人たちに音を押し付けるような演奏ではなく、聴いてくださっている方たちにそっと音を届けるような演奏を、という結論が出ていた。

ところが、ライブとなると思うようにいかない。「ちょっと違うな、なんか違うな」と心の中で思いながら、つい目いっぱいの力を込めて吹いてしまう。きっと「みなさんに音が届いているかな?」と不安になるんだ。つまり「聴かせよう」と思ってしまう。 特に「Four」「Straight no chaser」「Work song」といった勢いのいい曲で、めざすものと対極の音を出している自分を、演奏しながら嫌だなと思っていた。

今回はテンションの音をたくさん出そうと臨んだ。テンションの音を出すということは、一音に集中するということだ。 ところが、「聴かせよう」という方向に走ると、音が雑になるんだ。一音一音に集中するというのは、私の中で音を消化していくということだ。私自身が私の演奏の第一の聴衆にならないといけないのだと思うのだが、ライブではまだそれができない。

どのような分野でも同じだと思うが、「まあこんなもんでいいんじゃないか」と割り切ったら、満足感を得るのは難しいことではない。 ところが、「こんなふうになりたい」と思い定めたとたん、理想と現実とのギャップに悩むことになる。

一般的に言えば、満足感は単なるぬるま湯であって、理想を追い求めて向上心を求めたほうがよい。 だけど、ライブとなるとそう単純ではない。私が演奏を心から楽しめなければ、来てくださった方たちだって楽しくないだろう。

「なんか違う」と思いながら演奏するのは、けっこう最悪だ。それなら割り切って「これが最高」と心から思いながら演奏したほうがいい。 普段は理想と現実のギャップに悩み、ライブのときには理想なんて忘れて「これが最高」という気分になる。そういう切り替えを学ばなければならないな、と思った夜であった。

ご来場くださったみなさんは本当にありがたい存在である。この歳になって半歩ずつゆっくり前進する姿を見守っていただけたら幸せである。

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